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続きです。
まだまだRではありませんので、安心して?お読みください(笑)
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『君が好き。』 2
「サンジのことか?」
「ああ。」
「貰いたいって?」
「そうだ。」
淡々となんの迷いも見せずに答えるゾロに、ルフィはふーん、と気の無いような声を漏らすと、何を思ったのか甲板の真ん中に「とすんっ」と腰を下ろした。
そして、少し離れた位置に座っていたゾロを手のひらを下に向けるようにして傍らへ来いと手招く。
犬や猫でも呼びよせるようなそんな仕草にも、ゾロは逆らわずに船室の傍から腰を上げて示されるままにルフィの正面に座りなおした。
真正面に座って顔を突き合わせながら、ルフィが口を開いた。
「貰いたいって、俺がうんって言えばオッケーなのか、それ。」
「そうだな。OKかも知れねぇし、そうじゃねえかも知れねぇ。」
「なんだ。わかんないのか。」
「ああ。最終的にはアイツの気持ち次第だろうからな。」
「じゃ、なんで俺に言ったんだ?」
首をかしげるルフィに、ゾロはきっぱりと答えた。
「アイツが、仁義を通せと言いやがったからだ。」
「仁義?」
「ああ。アイツが、『俺に話があるなら、俺たちのキャプテンであるルフィを通せ』って言いやがるから。」
「話なんか勝手にしていいぞ?」
「あー、まあ、話だけじゃなくてだな。」
「いやいやいやいや、待ておまえらっ!」
ゾロが言葉を選びながらもなにやら続けそうになったとたん、果敢にもウソップが二人の会話に割って入った。
腰を抜かしたように座り込んでいた体制のまま、ずりずりと甲板を進んでいくらか二人の近くまで来ると、ウソップは冷や汗を垂らしながらもルフィとゾロの会話を止めようと試みる。
「いったい何の話してんだっ、おまえらっ。」
「あ?だからゾロがサンジを貰いたいって言うからよ。」
「貰いたいって?!貰うってなんだよ、アイツはモノじゃねえぞ!」
「ウソップ、おまえ何言ってんだ、サンジはモノじゃねえ。コックだ。」
噛み合わない会話のまま、なぜかどーんと胸を張って言い切ったルフィは、突然「はっ!」と何かに気が付いたかのように真剣な顔になってゾロを振り返った。
「ダメだ!!」
「なに?」
「ダメだっ!サンジはやれねぇ!!」
「お、おい、るふぃーーーーっ?!」
突然ゾロの発言を全否定して怒鳴ったルフィに、ウソップがひっくり返りそうになりながらも、なんとか勇気を振り絞って立ち上がりかけるルフィの肩を掴んでその場に座らせる。
だが、背中のほうからものすごい殺気が押し寄せてきて、ウソップはその場で気を失いそうになってしまった。
いや、なんでこういう肝心なところで気絶できねぇのかな俺。
ウソップが心底そんなことを思いながら、そーーーーっとその危険な気配の源を振り返れば。
どこの誰を相手に戦おうというのか。
闘志丸出しのゾロが、無表情のままこちらを見ている。
こちらと言っても正しくはルフィをだ。もしもこの視線が自分自身に向けられたものだったら、自分は間違いなく仮死状態くらいには速攻でなれる、とウソップは恐怖でぐるぐるする頭の中で思った。
そんな哀れなウソップを間に挟んで、ゾロがゆっくりと口を開いた。
「・・・・・どうしてだ。」
「やれねえったら、やれねぇ!!」
「理由を言え。」
「ダメだったらダメだ!!」
「・・・・・・てめぇ。」
駄々をこねる子供のようにダメだと繰り返す船長に、ゾロが額に血管を浮かせる。
半分気絶したようなウソップをしがみ付かせたまま、ルフィは「ふんっ」とそんなゾロを見返している。
晴れ渡った青空の下、緩やかな風と波に揺られてグランドラインを進んでいくメリー号の甲板は、かなり局地的に不穏な空気に包まれ始めていた。
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