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海賊ss。
ちょっとした会話を楽しんでるみたいな、剣士とコックさん。
二人きりのときなら、こんなふうになんでもない会話とかしてたらいいな、とか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・未満・・・でもないかも(笑)
ちょっとした会話を楽しんでるみたいな、剣士とコックさん。
二人きりのときなら、こんなふうになんでもない会話とかしてたらいいな、とか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・未満・・・でもないかも(笑)
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『color』
「うーーーーん、悩むなあ。」
もう何度目かの台詞を呟きながら、サンジは真剣にテーブルの上に広げた物を見続けていた。
テーブルを挟んだ向かい側にはゾロが座っている。
「うーん、やっぱりこっちかなあ。」
『決めようかな』、と言いながら、全く決まらないその繰り返しに、ゾロはサンジが休憩に入る前に用意してくれた茶を飲みながら気長に付き合っている。
付き合っている、と言ったところで特に助言をしてやるわけでも相槌を打ってやるわけでもない。
ただ、サンジが茶をいれたからと呼びに来たので示されるままにラウンジに入ってテーブルに着いたら、その向かいに座ったサンジがなにやら雑誌を広げて読み始めたというだけのことだ。
ちらりと広げられた紙面を見れば、なにやらカラフルなものが載ったページだ。
そのほとんどがゾロには使い道すら想像が付かないものばかりだが、サンジはさっきから真剣に何かを悩んでいるらしい。
「ん~~・・・・・・・・・、なあ。」
一人で悩むのにも飽きたのか、とうとうサンジが無言のまま湯飲みを抱えているゾロに声を掛けてきた。
「なんだ。」
「なあ、てめぇならどう思う?」
「だから何が。」
「どっちの色がいいと思う?」
「・・・・・・・・・・・色?」
サンジがゾロのほうへと雑誌を押しやってくる。
テーブルの上を渡ってきたそれに視線を向けたゾロに、サンジも雑誌と一緒に身を乗り出すようにして紙面の一部を指差してみせた。
「これさあ、全部で5色もあるんだよ。決めらんねぇ・・・。」
どこか途方にくれたようなサンジの様子にゾロは思わず笑いそうになって、あわてて口元を引き締める。
「・・・・・・・・・エプロン?」
「そ。どの色かなあ・・・。」
「・・・・・・・・・なんで選んでんだ。」
『買うのか』と聞いたゾロに、サンジがふるふると首を振る。
ゾロの顔のすぐ目の前で金の髪がさらりと揺れながら、窓越しの午後の日差しに光った。
一緒になって紙面を覗き込んでいたせいで、思っていた以上に接近していた自分たちの距離に気がついて、ゾロは思わず身を引きそうになる。
しかし、どこかでそれをもったいないと感じる自分に気がついて、ゾロはその場に留まった。
「買わないのに、何選んでんだ。」
「・・・・・・・・・・・ナミさんとロビンちゃんが。」
「あ?あいつらがどうした。」
『お二人をあいつらとか言うな』と戒めの一言を口にしてから、サンジは言いにくそうに口ごもる。
その様子にゾロは興味を引かれて、さらに先を促した。
ちょっと迷うように間をおいて、サンジがらしくないほど小さな声でようやく話し出す。
「ナミさんとロビンちゃんが、プレゼントしてくれるって・・・」
「プレゼント?」
ゾロが首をかしげる。
なんだって今頃。
こいつの誕生日は先月頭にとっくに終わってるし、誕生日プレゼントもそれぞれからもらっていたはずだ。
しかもナミからのそれは物でもなんでもなく、「次の島で一緒にカフェでお茶をしてあげる」とかいう、プレゼントなのかどうかも分からないようなモノだった。
まあ、言葉通りにそれからすぐに立ち寄った島でナミと出かけたサンジが、それはそれは嬉しそうにしていたから、まあプレゼントと言えるのかもしれないが。
そんなことを思い出しながら、ゾロはサンジの言葉の続きを待った。
「お二人で俺にエプロン買ってくれるって言うんだよ。」
「・・・・・・・・・・・。」
「で、好きな色選べって・・・・・。」
『選べないよ~』と泣き言を言うサンジに、ゾロはさらに首を傾げそうになりながら問い返した。
「なんで選べないんだ。好きな色選べばいいだろ。」
「だって!」
何をそんなに?と不思議に思うゾロに、サンジは思いのほか真剣な顔を向けてきた。
ちょっと驚いて黙ったゾロに、サンジが言い募る。
「お二人が俺に選べって言うんだぞ!ナミさんのイメージならこの太陽みたいなオレンジだし、ロビンちゃんならこっちのオトナっぽいシックな黒だろう!」
『ああ、選べねぇっ!』と髪をかきむしりそうな勢いで悩んでいるサンジを、ゾロは呆れた顔も隠せずに見ていた。
アホだアホだ、と思ってはいたが、ここまでアホだとは。
呆れて思わずもれたゾロのため息を聞きとがめたのか、サンジがムッとした顔でゾロを見返してくる。
「なんだよ!俺の悩みも知らないで!!」
『いや知ってるけどよ』という突っ込みは心の中だけにしておいて、ゾロは言葉を返した。
「好きな色を選べって言われたんだろ。じゃあ、好きな色にしたらいいじゃねえか。」
「だから悩んでるんじゃないか!お二人のどちらかなんて俺には選べない!」
だからナミかロビンかを選べなんて誰も言ってねぇ。
ゾロの的確な突っ込みはまたしても心の中だけで。
「てめぇが本当に好きな色に決めたほうが、あいつらもきっと嬉しいぞ。」
「・・・・・・・・・・・・嬉しい?」
「そうだろ。てめぇに選べって言ってきたんだから、そうしたほうが言ってきたあいつらも嬉しいだろうが。」
「・・・・・・・・・・・・そうかな?」
「ああ。」
確信もなく言い切るゾロの言葉に、サンジはちょっと迷うように言葉を切って、しかしすぐに「決めた」と呟いた。
「そうだよな。お二人が嬉しいって思ってくれたらそれが一番だよな。」
「おう。」
二人に伝えてくるとサンジが立ちあがった。
雑誌をテーブルに置いたままラウンジを出て行こうとする後姿に、ゾロはふと気がついて声を掛けた。
「おい。」
「あ?」
「で、何色にするんだ。」
ゾロの質問に、サンジが戸口で立ち止まって、振り返りざまに口元になんとも言えない笑みを浮かべたまま振り返った。
「4番。」
「は?」
それだけ答えて、サンジはラウンジを出て行った。
残されたゾロは、再び雑誌に視線を向ける。
「・・・・・・・・・・・・・・あのやろ・・・・・。」
サンジの言う『4番』を確認して、ゾロは思わず眉をひそめた。
「してやった」とか思ってんじゃねぇだろうなあのアホコックが、と内心でムッとしながら雑誌を閉じようと手にとって、ゾロは初めてそのページの見出しに気がついた。
思わず笑い出しそうになって、口元が緩む。
サンジが悩んでいたエプロンと並んでゾロには用途の分からない雑貨がたくさん掲載されたそのページのタイトルは、『お母さんありがとう、母の日の贈り物特集♪』、だった。
まあ、この船の料理をはじめとする「家庭環境」のすべてを担っているのがサンジなのだとすれば、あながち間違いでもないが。
-----------------------------あのアホコック、気がついてんのか?
笑いながらそんなことを思って、ゾロは雑誌を閉じてテーブルに放り出した。
サンジが選んだ『4番』の色のエプロンが届いたのはそれから3週間後のこと。
その若草色のエプロンは、サンジの金の髪と白いシャツによく映えてとっても似合っていると、麦わらのクルー達は心から思ったという。
END
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「母の日商戦」が始まったものですからつい・・・(笑)
『color』
「うーーーーん、悩むなあ。」
もう何度目かの台詞を呟きながら、サンジは真剣にテーブルの上に広げた物を見続けていた。
テーブルを挟んだ向かい側にはゾロが座っている。
「うーん、やっぱりこっちかなあ。」
『決めようかな』、と言いながら、全く決まらないその繰り返しに、ゾロはサンジが休憩に入る前に用意してくれた茶を飲みながら気長に付き合っている。
付き合っている、と言ったところで特に助言をしてやるわけでも相槌を打ってやるわけでもない。
ただ、サンジが茶をいれたからと呼びに来たので示されるままにラウンジに入ってテーブルに着いたら、その向かいに座ったサンジがなにやら雑誌を広げて読み始めたというだけのことだ。
ちらりと広げられた紙面を見れば、なにやらカラフルなものが載ったページだ。
そのほとんどがゾロには使い道すら想像が付かないものばかりだが、サンジはさっきから真剣に何かを悩んでいるらしい。
「ん~~・・・・・・・・・、なあ。」
一人で悩むのにも飽きたのか、とうとうサンジが無言のまま湯飲みを抱えているゾロに声を掛けてきた。
「なんだ。」
「なあ、てめぇならどう思う?」
「だから何が。」
「どっちの色がいいと思う?」
「・・・・・・・・・・・色?」
サンジがゾロのほうへと雑誌を押しやってくる。
テーブルの上を渡ってきたそれに視線を向けたゾロに、サンジも雑誌と一緒に身を乗り出すようにして紙面の一部を指差してみせた。
「これさあ、全部で5色もあるんだよ。決めらんねぇ・・・。」
どこか途方にくれたようなサンジの様子にゾロは思わず笑いそうになって、あわてて口元を引き締める。
「・・・・・・・・・エプロン?」
「そ。どの色かなあ・・・。」
「・・・・・・・・・なんで選んでんだ。」
『買うのか』と聞いたゾロに、サンジがふるふると首を振る。
ゾロの顔のすぐ目の前で金の髪がさらりと揺れながら、窓越しの午後の日差しに光った。
一緒になって紙面を覗き込んでいたせいで、思っていた以上に接近していた自分たちの距離に気がついて、ゾロは思わず身を引きそうになる。
しかし、どこかでそれをもったいないと感じる自分に気がついて、ゾロはその場に留まった。
「買わないのに、何選んでんだ。」
「・・・・・・・・・・・ナミさんとロビンちゃんが。」
「あ?あいつらがどうした。」
『お二人をあいつらとか言うな』と戒めの一言を口にしてから、サンジは言いにくそうに口ごもる。
その様子にゾロは興味を引かれて、さらに先を促した。
ちょっと迷うように間をおいて、サンジがらしくないほど小さな声でようやく話し出す。
「ナミさんとロビンちゃんが、プレゼントしてくれるって・・・」
「プレゼント?」
ゾロが首をかしげる。
なんだって今頃。
こいつの誕生日は先月頭にとっくに終わってるし、誕生日プレゼントもそれぞれからもらっていたはずだ。
しかもナミからのそれは物でもなんでもなく、「次の島で一緒にカフェでお茶をしてあげる」とかいう、プレゼントなのかどうかも分からないようなモノだった。
まあ、言葉通りにそれからすぐに立ち寄った島でナミと出かけたサンジが、それはそれは嬉しそうにしていたから、まあプレゼントと言えるのかもしれないが。
そんなことを思い出しながら、ゾロはサンジの言葉の続きを待った。
「お二人で俺にエプロン買ってくれるって言うんだよ。」
「・・・・・・・・・・・。」
「で、好きな色選べって・・・・・。」
『選べないよ~』と泣き言を言うサンジに、ゾロはさらに首を傾げそうになりながら問い返した。
「なんで選べないんだ。好きな色選べばいいだろ。」
「だって!」
何をそんなに?と不思議に思うゾロに、サンジは思いのほか真剣な顔を向けてきた。
ちょっと驚いて黙ったゾロに、サンジが言い募る。
「お二人が俺に選べって言うんだぞ!ナミさんのイメージならこの太陽みたいなオレンジだし、ロビンちゃんならこっちのオトナっぽいシックな黒だろう!」
『ああ、選べねぇっ!』と髪をかきむしりそうな勢いで悩んでいるサンジを、ゾロは呆れた顔も隠せずに見ていた。
アホだアホだ、と思ってはいたが、ここまでアホだとは。
呆れて思わずもれたゾロのため息を聞きとがめたのか、サンジがムッとした顔でゾロを見返してくる。
「なんだよ!俺の悩みも知らないで!!」
『いや知ってるけどよ』という突っ込みは心の中だけにしておいて、ゾロは言葉を返した。
「好きな色を選べって言われたんだろ。じゃあ、好きな色にしたらいいじゃねえか。」
「だから悩んでるんじゃないか!お二人のどちらかなんて俺には選べない!」
だからナミかロビンかを選べなんて誰も言ってねぇ。
ゾロの的確な突っ込みはまたしても心の中だけで。
「てめぇが本当に好きな色に決めたほうが、あいつらもきっと嬉しいぞ。」
「・・・・・・・・・・・・嬉しい?」
「そうだろ。てめぇに選べって言ってきたんだから、そうしたほうが言ってきたあいつらも嬉しいだろうが。」
「・・・・・・・・・・・・そうかな?」
「ああ。」
確信もなく言い切るゾロの言葉に、サンジはちょっと迷うように言葉を切って、しかしすぐに「決めた」と呟いた。
「そうだよな。お二人が嬉しいって思ってくれたらそれが一番だよな。」
「おう。」
二人に伝えてくるとサンジが立ちあがった。
雑誌をテーブルに置いたままラウンジを出て行こうとする後姿に、ゾロはふと気がついて声を掛けた。
「おい。」
「あ?」
「で、何色にするんだ。」
ゾロの質問に、サンジが戸口で立ち止まって、振り返りざまに口元になんとも言えない笑みを浮かべたまま振り返った。
「4番。」
「は?」
それだけ答えて、サンジはラウンジを出て行った。
残されたゾロは、再び雑誌に視線を向ける。
「・・・・・・・・・・・・・・あのやろ・・・・・。」
サンジの言う『4番』を確認して、ゾロは思わず眉をひそめた。
「してやった」とか思ってんじゃねぇだろうなあのアホコックが、と内心でムッとしながら雑誌を閉じようと手にとって、ゾロは初めてそのページの見出しに気がついた。
思わず笑い出しそうになって、口元が緩む。
サンジが悩んでいたエプロンと並んでゾロには用途の分からない雑貨がたくさん掲載されたそのページのタイトルは、『お母さんありがとう、母の日の贈り物特集♪』、だった。
まあ、この船の料理をはじめとする「家庭環境」のすべてを担っているのがサンジなのだとすれば、あながち間違いでもないが。
-----------------------------あのアホコック、気がついてんのか?
笑いながらそんなことを思って、ゾロは雑誌を閉じてテーブルに放り出した。
サンジが選んだ『4番』の色のエプロンが届いたのはそれから3週間後のこと。
その若草色のエプロンは、サンジの金の髪と白いシャツによく映えてとっても似合っていると、麦わらのクルー達は心から思ったという。
END
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「母の日商戦」が始まったものですからつい・・・(笑)
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